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ストーリー紹介 | ハディ・カウル

Ocelot
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edited May 2022 in ニュース

 ハディは幼少時を、愛情溢れる家庭で過ごした。母親であるバサント・カウル教授は、ケベック州トロワリビエールにある大学で農業科学を教えるために地球の反対側に引っ越し、父親のラジャン・シンはケベックの小さな村で配膳業を営むと、目覚ましい成功を収めた。家の中では、クミンやチリ、マサラ、カルダモンといった香辛料と、タンドールから取り出したばかりの温かいナンの香ばしい香りがいつでも渦巻いていた。物心がついた幼い頃の思い出はインドの話ばかりで、10歳の誕生日には、両親は新年が明けたらハディをパンジャブに連れていってくれると約束した。

 その休暇の間、両親は親友であるマリーズとフランソワのロワ夫妻と一緒に、とあるパーティーに出かけていた。体調が悪くなったハディが両親に電話をしてそれを伝えると、2人は急いで会場を後にした。雪が降りしきるなか、曲がりくねったケベックの田舎道を運転していたラジャンは、車の操作を誤り、スリップして鬱蒼と茂る寒々しい森林へと突っ込んでしまった。2人の遺体が車の中で閉じ込められた状態で発見されたのは、2日後のことだった。熱が下がったハディを警察が訪ね、玄関先で両親は苦しまなかったと告げたが、その頃のハディはもう小さな子どもではなく、警察の言葉が親切心であることは分かっていた。次の日の朝、目が覚めるとハディの髪は白くなっていて、この時に頭に浮かんだ疑問はその後の彼女の人生にずっと付きまとうことになった。

 ロワ夫妻はハディを引き取り、両親が残した穴を埋めようと最大限の努力をした。とてつもなく大きなものを失ったにもかかわらず、養父母の実の息子であるジョーダンへの愛、そして彼ら3人が自分に注いでくれる愛によって、ハディは再び愛情に囲まれた人生を送ることができた。しかし、両親を失った心の傷は、彼女の中にある何かを解き放ってしまったように思えた。ハディには、他の人には見えない不自然で恐ろしい、説明のつかないものが見えるようになったのだ。その「見えるもの」は、教室でも、家でも、ベッドの中でも彼女を悩ませた。突拍子もなく叫び声を上げるせいで「地獄のハディ」というあだ名がついたのは、彼女により一層の疎外感と苦悩を与えた。以前は陽気で社交的な子だったが、ハディはすっかり周囲に壁を作ってしまった。

 やがてハディは、特定の場所—暗闇だけで引き起こすことのできる異様な能力に気がついた。それはまるで、別の次元がこの次元に流れ込んでくる場所が、この世界に存在するかのようだった。ジョーダンはこれらの交差する場所を「重なり」と呼び、これらの場所はハディにとって、宇宙に存在する恐怖の物語からそのまま飛び出した、謎だらけの邪悪な世界を理解する手段のように思えた。高校を卒業すると、ハディは自分の両親が何者だったのかを知りたいという、説明はできないが強い衝動を感じた。インド旅行の資金を工面するために兄のジョーダンが提案したのは、ハディの能力を使ってケベックのありとあらゆる心霊スポットを調査し、その様子を記録するというものだった。その第1弾として、彼らは幽霊の出る精神科病院を訪れた。ドレア病院でハディが見聞きしたものは、患者と医師の残存記憶だけで終わらなかった。

 病院で自分の感じたことを記録しながら、ハディはこの侵害してくる次元を思いつきで「破壊」と呼んだ。それは、あらゆる時代と場所で生じた記憶を使って彼女を攻撃してくるばかりか、精神エネルギーを糧とする感覚を与えてきた。ハディが感じ取ったこの「破壊」は、人間の苦悩を寄せ集めた生物で、ゆっくりと世界を腐敗させ破滅させていた。ハディは、自分の仮定を裏付ける証拠を集めるために、さらなる調査が必要だという結論に至った。<br><br>ジョーダンは映像と記録した音声を叔父のステファンに託し、ウェブ番組を制作してもらった。『奈落の破壊』は初回エピソードをアップした数日以内に拡散されて大ヒットを収め、コメント欄はハディの体験を自らの自説で考察する犯罪ドキュメンタリーファンや心霊マニア、心霊系アンチ派のコメントで溢れていた。製作担当のステファンは、間もなくハディにプロのポッドキャスターとしての最初の報酬を手渡した。

 予算を手にしたハディは、これで「破壊」の答えを求めて世界最大級の心霊スポットを調査できるようになった。調査するなかでたどり着いたのは、かつて数十件の空き家を残して町の人々が不可解な失踪を遂げた孤島だった。この場所ほど「破壊」の影響が強く及んでいるのを感じたことがない。その島は苦しみと残忍さで鼓動し、闇を抑え込んでいた。

 ハディは廃墟と化した町から感じる感情を取り込み、目を閉じた。心を落ち着かせて頭の中の邪念を取り除くと、しゃがれた悲鳴や泣き叫ぶ声、すすり泣く声が聞こえはじめる。再び目を開けると、泥と雨の中で互いに引き裂き合う人々の残存記憶が目にうつった。どの記憶もオレンジ色で、生気に満ちていた。すると今後は、すべてが消え失せ、幼い頃の義兄が1軒の家から手招きしている。ハディは兄を追いかけたが、突然立ち止まった。「破壊」がイタズラで自分の感情をもてあそび、現実ではあり得ないようなものを見せているということに気づいたからだ。

 「破壊」が現れたことでハディはプロジェクトの続行を断念しかけたが、家族を養う会社にとって今や彼女は要の存在となっていた。叔父のステファンは調査候補の心霊スポットを追加し続け、ハディはインド全土をバックパッカーとしてひとり旅した後、「破壊」の恐怖に引き続き臨んだ

 その後、アルプス山脈にある第二次世界大戦時に使用された掩蔽壕を調査していた時、ハディはパンジャブ語で助けを呼ぶ誰かの声をかすかに聞いた。掩蔽壕の中で雪がさっと降ったかと思うと、突如トンネルの向こうに雪で覆われた森が広がった。遠くでクラクションの音が鳴り響き、徐々に消えていく。雪の壁を通して赤い光の輝きが目に入ると、一瞬心臓が止まったのを感じ、ハディは2本の大きな松の木に挟まれて大破した青い車に駆け寄った。粉々になったフロントガラスの向こう側に見えるのは、凍った血の海の中で動かない両親の遺体だった。

 目を凝らすと、両親の震える唇から細い蒸気の煙が上がっていた。強い切迫感を抱いたハディは急いで中に入ろうと必死で車を押したり引いたり蹴ったりしたが、すべては無駄な努力だった。ハディは両親に向かって大声で叫んだ。具合が悪くなってごめんなさい、事故が起きたのは全部私のせいなのと。カッと目を見開いた両親は、声をそろえてハディの疑問に答えた。彼女の人生につきまとっていた、両親の死に向き合うための答えだ。

 「そうだ…娘よ…苦しんだのは…お前のせいだ」

 大きな叫び声とともに雪の中へ落ちたハディを氷の巻きひげが巻き付き、終わりのない闇の中へと引きずり込んでいった。

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