開発チームアップデート | 生存者のアクション表示機能と新機能について
先日、6.5.0アップデートで
- ①インターフェースに生存者同士がお互い行っているアクションが表示される機能
- ②殺人鬼に追われている生存者が殺人鬼と生存者全員に表示される機能
を実装予定であると発表しました。
Steam版で実施したパブリックテストビルド (PTB) の結果、この機能を改良し、
- ③生存者が発電機を修理中、その修理進行度が生存者同士のインターフェースで表示される機能
を追加することにしました。
今週に予定している6.5.0アップデートの本実装で①②を、近日配信予定の別アップデートで③を追加実装します。
この記事では、アクション表示機能をなぜ追加するのかという理由を改めて皆さんにお伝えするとともに、発電機の修理進行度を表示することにした理由と、この機能を発表したとき一部の方からいただいた質問や懸念点にお答えします。
Dead by Daylightのゲームバランスについて
アクション表示機能の話に入る前に、ゲームバランスについての話をします。皆さんもご存知の通りDead by Daylightはオンライン対戦ゲームであり、キャラクターはすべて実際の人間が操作しています。対戦ゲームといえば格闘ゲームやFPSゲームなど色々な種類がありますが、Dead by Daylightは大きな違いがあります。それは「1対4の非対称対戦ゲームである」ということです。
非対称対戦ゲームであるということは、ゲームバランス調整に独自の施策が必要であるという意味でもあります。例えば1対1の対戦ゲームであれば、基本的に強すぎて勝ちすぎる要素を弱体化し、弱すぎて負けすぎる要素を強化すれば問題ないでしょう。対戦している2人以外の条件を考える必要がないからです。しかし、Dead by Daylightの場合、「勝ち」と「負け」を考えるところからして独自のやり方が必要になってきます。
Dead by Daylightにおいて、「勝ち」と「負け」とは何でしょう。生存者の場合、儀式の結果は脱出できたか死亡したかの2つに1つなので簡単です。しかし殺人鬼の場合は生存者の殺傷人数が0人~4人という5パターンの結果が存在するので、話が複雑になってきます。
この独特なシステムに対応するため、Dead by Daylightの殺人鬼は「儀式中に1対1の試合を4回行っている」という考え方をしています。生存者の名前をA・B・C・Dとすると、儀式は「殺人鬼 vs. A&B&C&D」ではなく、「殺人鬼 vs. A」「殺人鬼 vs. B」「殺人鬼 vs. C」「殺人鬼 vs. D」の4試合が行われたと考えます。もしAとBを処刑できたもののCとDに脱出された場合は、1回の儀式で「2回勝って2回負けた」ということになります。
その上で、Dead by Daylightは2023年現在「殺人鬼が平均で2~3回勝てるようなゲームバランス」つまり、「殺人鬼が平均で2~3人処刑 (殺傷) できるようなゲームバランス」を目指しています。殺人鬼からするともっと全滅しやすくなって欲しいかもしれませんが、全滅というのは前述の通り生存者全員に全勝することであり、そこを基準点にするとあまりにもパワーバランスが偏り過ぎてしまうため、意図的にそうはしていません。かといって中央である2人処刑を基準にすると殺人鬼の恐ろしさがあまり感じられないことがわかったため、現在は2人と3人の中間くらいになるようなバランスを目指しており、これを実現するため、常に皆さんが行っている儀式のデータやご意見を参考にしてゲームバランス調整の検討や開発に日々取り組んでいます。
単独の生存者と生存者パーティの差について
生存者でプレイするには2種類の方法があります。1人でプレイするのと、1~3人のフレンドと一緒にプレイすることです。オンラインゲームをフレンドと一緒にプレイする場合、昨今のオンラインゲームでは、Discordや家庭用ゲーム機に標準搭載されているボイスチャット機能を使ってお喋りしながらプレイするのも珍しい光景ではなくなりました。
Dead by Daylightもフレンドと一緒に楽しく遊べるゲームの1つでありたいと願っており、フレンドとパーティを組む機能の実装やフレンド周りの機能改善を行ってきました。1人で静かに遊びたい人がプレッシャーを感じないようゲーム内ボイスチャットを実装する予定はありませんが、Discord等のボイスチャットツールを使用してプレイしたい人は自由にしてもいい、という方針で皆さんに楽しくプレイしていただいてきました。
しかし、1人でプレイしているときとフレンドと一緒にプレイしているときでは時にゲーム内容にも差が生まれます。例えば1人でプレイしているとき、フックに吊られたまま誰も助けに来ずそのまま死んでしまったこと、ありませんか?誰でも1度はあると思います。多くの場合、これは他の3人が「他の誰かが救助に行っているだろう」と思い込んで結局誰も行かないことによって発生します。フレンドと一緒にお喋りしながらプレイしているのであれば誰が今何をしているのか共有し、全員が作業中であれば誰かが救助に行くことができます。
このような単独プレイ時とパーティプレイ時の差は随所に現れ、特に1人でプレイしているときは仲間から見捨てられるように感じたり、パーティでプレイしていれば生き残れたであろうシチュエーションであっさり死んでしまうように感じたりすることが多く、改善してほしいというご要望を以前からいただき続けてきました。
生存者のアクション表示機能を本実装することにしたのは、このような課題を単独プレイとパーティプレイ時の情報格差を縮めることにより改善するためです。
生存者のアクション表示機能と追加機能について
先日発表してPTBでテストしたアクション表示機能は6.5.0アップデートで実装することにしました。この機能は生存者パーティがボイスチャットで共有しがちな情報、つまり「今何をしているか」という情報に焦点を当て、画面上に最初から表示することでパーティを組んでいない人も同等の情報が得られることを目指しています。実際にPTBに参加してテストしていただいた方から、単独の生存者のプレイ体験を改善しつつ、かつ過剰に情報を与えすぎない点によい評価をいただいたため、実装に移すことにしました。
さらに、PTBに参加された方の中から発電機の修理進行度もフレンドとプレイしているときはよく共有される情報であり、状況判断に大きく影響するため見えるようになって欲しいとのご意見を多くいただきました。これは確かにその通りであるため、既存の機能に追加することにしました。
今回アクション表示機能を実装するのは、 上でご紹介した「単独とパーティの生存者の差を縮める」ためです。今回、単独の生存者もパーティがボイスチャットで共有するような情報を見ることができるようになるため、両者の差は次第に縮まっていくと考えています。これが、1人でプレイしているときのプレイ体験を改善しつつ今後より適正なゲームバランス調整を行えるようにするための土台作りになることを願っています。
一部の方から寄せられた質問や懸念点について
以前から日本のプレイヤーの皆さんを含む世界の方々から単独の生存者とパーティの格差を改善してほしいというご意見をいただいており、今回大きな機能改善を実施できることを嬉しく思っています。一方、本機能に対して一部の方から寄せられた質問や懸念点について、この機会にそれらの疑問点についてもお答えします。
この機能があると生存者が全体的に強くなると思います。殺人鬼を全体的に強化する予定はありますか?
この機能は単独の生存者をパーティに近付けることを目的としており、パーティが今以上に強化されないような工夫がしてあります (例: 通常は詳細な情報共有が困難な、正確な現在位置は表示されません)。そのため、本機能で恩恵を受けるのは単独でプレイしている生存者がほとんどであり、生存者全体が大幅に強化されることは考えていません。とはいえ、本機能の目的は単独の生存者とパーティの差を縮めて適切なゲームバランス調整ができるようにすることなので、今後も状況を見つつ必要に応じてゲームバランス調整を行っていきます。
なんで生存者ばかり強化して、殺人鬼は弱体化ばかりするんですか?
そんなことはありません!例えば今週リリース予定の6.5.0アップデートではナイトに様々な強化を加えてます。さらに同アップデートでは新もがきシステムの本実装を行うと同時に、スキルチェック:グレイトに成功するともがき進行度が増加する仕様を削除します。これは殺人鬼が遠めのフックに吊ろうとしたとき成否をわけることがあるためです。さらにコントローラーで操作しているときの入力処理を改善し、生存者を運んでいるときの揺れの影響を今より抑えています。
何より、昨年行ったDead by Daylight史上最大規模のゲームバランス調整では全ての殺人鬼の基本能力に様々な強化を行い、また発電機修理にかかる時間を約12%増やす生存者全体の弱体化を行いました。その結果として、私たちの想定通り殺人鬼の平均殺傷率を上昇させることができました。昨年詳しいデータを公開したので、興味がある方はぜひ見てください。
私たちはより快適で楽しいプレイ環境を皆さんにご提供できるよう、常に皆さんの儀式から得られるデータとご意見を参考にゲームバランス調整に取り組んでいますし、今後も継続していきます。
また、本機能の目的は単独の生存者とパーティの差を縮めることなので、生存者全体を強化することが目的ではありません。とはいえ得られる情報が多くなることによる影響を注視し、必要に応じて調整を継続していきます。
この機能があると、仲間の行動を予想する面白さや、状況がわからないスリルやホラー感が無くなってしまうと思います。
確かに本機能があることで得られる情報量が多くなるため、推理をする楽しさが若干減ってしまうことは否めません。しかし、プレイヤーの皆さんに愛されるDead by Daylightをこれからも長く運営していくためには、皆さんが快適に楽しくプレイできる環境を整えることが必要不可欠であり、適正なゲームバランス調整の妨げになる要素を改善することは私たちの責務であると考えています。あえて情報がわからないことを楽しんでいる方の楽しみを多少削らざるを得ないのは残念ではありますが、正確な現在位置などすべての情報がハッキリ見えるわけではないため、本機能実装後の新しい感覚を楽しんでいただけることと、Dead by Daylightの開発方針をご理解いただけることを願っています。
この機能があると生存者が何でも見えるエスパーのようになり、世界観が損なわれてしまうと思います。
これは興味深い指摘だと思いますが、すでに霧の森の生存者達は普通の人とは違う能力に目覚めています。明らかに専門知識がない人が発電機を修理できること、瀕死になると仲間のオーラが見えること、他の人の特技をパークとして習得できること、そして「死んでも死ねない」こと、など……。何より私たちは皆さんが快適に楽しくプレイできる環境を整えることを第一に考えているため、今までもこれからも、必要に応じてあらゆる変更を行っていきます。
なんでパーティを組める機能を削除しないんですか?
なんでパーティを組んでいる生存者にハンディキャップを与えて単独の生存者に近付けないんですか?
なんでDiscordなどのボイスチャットツールの使用を禁止しないんですか?
協力プレイができるオンラインゲームにおいて、フレンドと一緒にプレイできる機能は最も基本的な部分であり、私たちもDead by Daylightをお友達とプレイするときはワイワイ楽しく遊んでいただけることを願っています。そのためパーティを組める機能を削除はせず、その代わり、生存者パーティと1人でプレイしている人をより良く共存させることを目指しています。ボイスチャットも近年は一般的となり、Discordに限らず多くの家庭用ゲーム機に標準搭載されています。ボイスチャットの使用もフレンドと一緒にプレイするときの醍醐味の1つであり、使いたい人に対しゲーム側で制限をかける予定はありません。
生存者パーティにハンディキャップを与えないのも、フレンドと一緒にプレイしたい人にも楽しんで欲しいというのが理由です。例えばもしパーティを組んでいる人数によって発電機の修理進行度が遅くなるようなシステムを導入したら、フレンドと一緒にプレイする意欲を削ぎ、1人で我慢する人がいるかもしれません。あるいはフレンドに誘われたとき、自分1人分のハンディキャップが重荷になることを嫌って遠慮する人もいるかもしれません。私たちはそのような障害が発生することを願っていませんし、パーティを組むことによって得られる利点をすべてカバーできるハンディキャップを与えるのも現実的ではないと考えています。
この機能があると、他のプレイヤーから監視されて効率的なプレイを強要されているように感じると思います。
他のプレイヤーから自分のアクションが見られているからといってプレッシャーを感じる必要は全くありません!むしろ今でも、“絆”や“血族”をつけた仲間や通りすがりの仲間、フックに吊られてる仲間等に自分の行動はちょくちょく見られていると思いますよ。本機能は単独の生存者とパーティの差を縮めることが目的で、全プレイヤーの行動を変化させることを目的としていません。今まで通りプレイしつつ、本機能を状況判断のヒントとして使ってみてください。
万が一自分の行動に対して他のプレイヤーから侮辱や脅迫のゲーム内チャットが送られてきた場合、そのプレイヤーの通報を行ってください。調査の上、厳正に対処します。ゲームのルールや通報に関する詳細はこちらです。
ゲーム内チャット以外 (家庭用ゲーム機やSNSのメッセージ機能等) である場合は、各プラットフォームの利用規約を確認し、必要に応じて運営者への通報やブロック等、自分を守るための措置を取ることをお勧めします。
この機能を使いたくありません。設定でON/OFFできる機能を実装する予定はありますか?
まずは6.5.0アップデート実装後、実際に儀式に行って試してみてください!現在のところON/OFF機能を実装する予定はありませんが、皆さんが慣れてきたころ、改めてそのような要望が多いか確認して検討する予定です。
これで、生存者のアクション表示機能に関する開発チームアップデートはおしまいです。
まずは今週配信予定の6.5.0アップデートで生存者のアクション表示機能を実際に試してみてください!私たちもこの機能が及ぼす影響を注視し、必要に応じて更なる変更やゲームバランス調整を継続していきます。実装後、皆さんのご意見ご感想を聞くのを楽しみにしています。
それではまた次回…
The Dead by Daylight team